2014年02月01日

毎度、将軍のニセ手紙

NOGI.jpgヤフオクにまたまた乃木将軍のニセ軍事郵便が出品されています。「非常に貴重な肉筆書簡です」などと無責任にうたっていますが、歴史的事実からも、郵便史研究の成果を援用しても、偽造品であることが簡単に証明できます。

1、裏面に「旅順ニテ」「十月二十五日」と書かれていますが、将軍が日露戦期の10月25日に旅順に滞在していた事実はありません。明治37年だったら旅順はまだロシア軍が保持しており、将軍は外郭要塞群を攻めあぐんでいる最中でした。38年には将軍は奉天あるいはその北方の第3軍司令部に滞陣中で凱旋・帰国待ちでした。歴史的事実とエネルギー不滅の法則に反します。

2、表面に2個ある丸型「第三軍」の黒印はニセモノ専用の架空印で、実際に使われたものではありません。旅順から広島に宛てた軍事郵便なら押されているはずの野戦局の引受印と広島局の到着印がありません。

GANは出品者に第1点だけを指摘して質問を送っておきました。どう対応するでしょうか。これまでの例だと、出品を取り下げる、「専門知識はない。応札者に判断して頂く」とする責任回避型、回答もせず無視する確信犯--と3様でしたが。

「乃木レター」は筆蹟コレクターや有名人オタたちに根強い人気があり、ネットオークションにも出品が絶えません。しかし、GANがこれまで見た限りでは日露戦争の無料軍事郵便は100%ニセモノでした。前後の時代の有料郵便なら真正品も多いのに、日露戦期だけ無料軍事郵便のホンモノが出て来ないのが残念です。ただし、旅順攻略後のファンレターに対する返礼と思われる外国宛て有料(4銭貼り、3軍4局引受)はがきは真正です。

このニセ手紙は恐らく昭和初期頃に同一人が企画して大量生産したもので、今でも業界にたくさん出回っています。歴史認識がとても浅く、軍事郵便の知識などもちろんない時代だったので、こんな稚拙なものでも大手を振って通ったのでしょう。さすがに最近では「ババ抜きのババ」状態で、同一品でも出品者を替え素人狙いでヤフオクに頻繁に出品されています。

ちなみに、2012年9月18日放送の「なんでも鑑定団 in 長久手市」に出品され、有名鑑定士が80万円と評価した「陸軍大将乃木希典の書簡」もこれと同じニセモノ作品です。出品者ばかりか社会に誤解と迷惑を与えたこの鑑定士は無能を恥じ、謝罪すべきです。

追記(2014.02.05) この手紙は本日20,500円で落札されました。真正品の相場の1/5~1/10という安さですから、出品者も10人の応札者たちもニセモノと承知の上なのでしょう。出品者はついにGANの「質問」に回答しませんでした。上記第3のタイプです。
posted by GANさん at 11:47| Comment(0) | TrackBack(0) | ニセモノ列伝 | 更新情報をチェックする
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