2014年02月08日

「抹殺」された呉局テ厚紙

KURETE-4b3c9.jpg特別軍事航空はがきの一種、海軍用の「呉局テ厚紙」です。日本郵趣協会の日専カタログでは1986年版に採録が始まって以来ずっとMA6-c のナンバーが与えられていました。

しかし、2007年版でこのはがきは突然削除され、以後、カタログ上では「存在しない」ことになっています。今日はこのはがきを材料に、カタログ編集者の責任について考えます。

「呉局テ厚紙」は、海軍用のはがきの中で最も厚く、実逓のアドレスが必ず「呉局気付テ」で始まることから仮に名付けられました。0.26ミリと厚手で腰が強く、滑らかでわずかに鈍い光沢のある紙です。一方、標準版は0.22ミリと薄く腰が弱いので、紙質で簡単に区別できます。

MEIHAN.jpgまた、呉局テ厚紙は印刷が粗雑で、銘版が文字列としてやや左肩上がりに見えることでも見分けがつきます。マニラに司令部を置いてフィリピン海面を警備した第3南遣艦隊だけで使われました。将来は標準版に並ぶ別種として、「比島厚紙」の名でメインナンバーを与えることを提案します。

実は、2007年版の日専で削除されたのはこのMA6-c (呉局テ厚紙)だけではありません。MA6-a(標準版)、MA6-b(薄手粗紙)も同時に削除されました。しかし、翌08年版ではMA6-aとMA6-bが「復活」したのに、MA6-c だけは削除されたまま。その状態が最新版(11-12年版)まで引き続いているのです。

カタログナンバーが突然削除されて翌年すぐに復活したり、あるいは理由が示されないまま「抹殺」されたり、などという奇怪なことが、なぜ起こったのか。

編集部のカタログ担当者が07年版編集のさい、うっかりミスでMA6のサブナンバーa、b、c 部分の4行を削り落としたまま印刷してしまいました。あわてて08年版で戻したものの、今度は最後の2行のMA6-c を戻し忘れた、というお粗末な二重ミスが「抹殺」の真相です。担当者は頬かむりを決め込み、上司の編集長も監督する立場のカタログ委員会もチェックできず、いまだにこれをミスと認識していません。

これは極端な例ですが、他にも、サブナンバーのMA7AはあるのにメインナンバーのMA7がないとか、「標準版」と「薄手粗紙」を混ぜこぜにして、存在もしない「標準粗紙」なる〝新種〟を作ってしまうとか、シッチャカメッチャカ。日専を信じ頼っている利用者はいい面の皮です。

もし、「呉局テ厚紙」という種類は存在しないことが分かったから削ったのだ、というのなら、その理由をこそ知りたいものです。GANは当時、編集部に問い合わせたのですが、「担当者がいない、だれが直したか分からない」などと回答が得られず、ついにあいまいなままに終わってしまいました。

日専に書かれている内容にミスを見つけたり異議のある利用者はどこに申し入れればよいのでしょう。責任は、だれが取るのでしょう。発行所の郵趣協会なのか、編集実務の郵趣出版なのか、企画監修をするカタログ委員会なのか、あるいは表面に現れない「協力者」という名の執筆者でしょうか――。

スタッフが重なり、責任の所在があいまいで、外部の者にはどうなっているのかさっぱり分かりません。このようないい加減な体制が、致命的なミスをも何年にもわたって見逃し続けさせているのでしょう。

追記(2017.12.10)「日専」の最新版らしい『日本普通切手専門カタログ 戦後・ステーショナリー編』が11月10日に発行されたので、JAPEX会場で買ってみました。特別軍事航空はがきについては何の改訂もなく、旧版(11-12年版)そのままです。この記事で指摘したMA6-c (呉局テ厚紙)、MA7、MA6-b(標準粗紙)の問題も検討された形跡すらなく、ほっかむり状態が続いています。これでは最新版と称して収集家に買わせる意味がありません。この5年間の編集者、この項の「協力者(執筆者)」の怠惰、不勉強ぶりが見事に表れています。
posted by GANさん at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | ステーショナリー | 更新情報をチェックする
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