2014年02月12日

将軍の標準型ニセ軍郵

NOGI-2.jpg乃木将軍のニセ軍事郵便が今日またヤフオクに出品(画像は封筒部分のみ=クリックで拡大できます)されました。今回のは架空の「第三軍/第五/野戦局」印が押された、ニセモノとしては最も標準的なタイプです。

GANはさっそく出品者に「3月25日に将軍が旅順にいた事実は歴史上ないのではないか?」と質問をしておきました。前回にも書きましたが、明治38(1905)年3月25日だったら、将軍は奉天北方でロシア軍と対峙していたからです。果たして、回答はあるかどうか。

偽作者は野戦局印のようなものを押せばホンモノらしく見えるだろうと考えて、この「3軍5局」印を押したのでしょうが、逆にこれで墓穴を掘りました。こんな日付のない野戦局印など、もちろん存在しません。これが押されていたら、他がどんなに真正のように見えても必ずニセモノです。

今日までの研究成果によれば、3軍5局は3月25日には奉天北方の鉄炉舗にあったことが分かっています。旅順とは数百キロの距離があります。だいいち、将軍の3軍司令部に随伴した野戦局は3軍4局であって、5局は無関係でした。

さらに言うなら、表面右下の「第三軍司令部記録済」という朱角印、裏面封じ目の「検閲済」朱丸印は共に架空のもので、このような印が使われた事実はありません。仮に司令部で何らかの記録文書を発送するのなら、必ず「公用」と封筒表面に朱書(押印)する規定でした。

また、日露戦争で陸軍は原則として検閲しませんでした。特別の必要で検閲した場合でも、押す場所は必ず表面で「軍事郵便」表示の下あたり。裏面に押すことはあり得ません。それにしても、前線では神にも等しい軍司令官、いったい検閲などできる将兵がいたというのでしょうかね。

追記(2014.02.13) 本日出品者から回答がありました。「古いものであるため真贋の保証はしておりません。写真をご覧頂き、各自のご判断での御入札をお願い致します」。出品物に責任を負わないが入札は続行するという第2タイプです。商品タイトルに「陸軍大将・乃木希典肉筆書簡」とうたっているのは何なのでしょうね。

追記(2014.02.19) このニセ軍事郵便は昨夜38,900円で落札されました。真正品の相場からすれば3分の1~5分の1程度の「激安」です。上記GANの「質問」と出品者の「回答」が読めたことと併せ、落札者もニセと承知で買ったことは明らかです。どう使おうというのでしょうか。
posted by GANさん at 11:27| Comment(0) | TrackBack(0) | ニセモノ列伝 | 更新情報をチェックする
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