2014年05月14日

1通でも切手別納郵便

PAID-2.jpgPAID-1.jpg単に切手を貼り忘れただけの料金未納の私製はがきと見過ごしがちですが、どっこい、「かなりの珍品」とGANは思います。最近のネットオークションで掘り出しました。

差出人名は印刷されていて、東京・神田神保町の出版社のようです。通信文が手書きです。引受日付印は局名がつぶれていますが、「神田局大正13(1924)年5月4日」と読むことができます。料金未納なら押されるはずの未納・不足印はどこにもありません。未納料金取立の付箋を貼った形跡も見られません。

実はこれ、表示こそありませんが、臨時特例が適用された切手別納郵便なのです。関東大震災で深刻となった切手・はがき不足対策として実施されました。太平洋戦争時、戦災を受けて切手・はがきが出回らなくなったさいにも、1945(昭和20)年4月の「料金収納」印押捺など似た措置がとられています。

「切手別納」とは、本来は100通、50通といった大量の印刷物を一括発信するさい、切手を貼る手数を省くため料金総額を切手で窓口納付できる制度です。震災で切手・はがき供給能力を一挙に失った逓信当局は、切手でなく現金でも納付できるように制度を改正しました。

大正12年逓信省令第82号で小包料金など他の22件と共に「現金納付可」が定められ、10月25日から施行されました。この日は震災切手発行の日ですが、震災切手売り捌き停止から2ヵ月後の大正13年11月末限りで省令は廃止されました。

無目打・無糊の不便な震災切手に並行させた1年1ヵ月間の「時限立法」でした。ただ、1通だけでも切手別納郵便として引き受けるとは、最も極端な適用です。それをも可能とするような規定をGANはまだ見つけていません。あるいは、とくに規定はないのに、結果的に窓口が1通でも引き受けるようになった可能性もあります。

現金納付による1通だけの切手別納郵便は、「切手別納郵便」印を押した私製はがき1例のみが牧野正久氏『震災切手と震災郵便』に発表されています。日付印を押して切手別納郵便として扱った例は、今回が初めての出現と思われます。
posted by GANさん at 23:47| Comment(2) | TrackBack(0) | 関東大震災 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
エンタイアのことはよく分かりませんが、どこぞに発表したらすごいことになるんじゃないですか?!
Posted by object at 2014年05月16日 01:23
こういう郵便物の存在は牧野本以来知られていますから、それほど「すごいこと」にはなりません。バラエティーが一つ付け加わった、という評価になるのでしょう。GANは紙の雑誌だけでなく、このようなネット上でも「発表」と考え、やっています。
Posted by GAN at 2014年05月16日 01:38
コメントを書く
コチラをクリックしてください

この記事へのトラックバック