2016年01月29日

大珍品?「XY2型」櫛型印

赤坂局.png佐久間大兄.png東京・赤坂局明治43(1910)年9月5日の櫛型印です。1月31日に終了するヤフオクに出品中の「乃木将軍直筆書翰」に添えられた封筒に押されています。C欄時間帯表示「前10-0」というところがこの印のミソ。なかなか面白い印影です。

一見すると、2時間刻みのX型櫛型印で良さそうなのですが、印影全体に何となく違和感がある。そう、まず第一に「前10-0」なんていう表示はありませんね。

時間帯の初めなら「0」ですが、終わりなら「12」と表示するのが櫛型印共通の約束ごと。この場合なら「前10-12」でないといけません。同様に、2時間刻みの午後なら「后10-12」であり、「后10-0」もあり得ません。

そもそも、2時間刻みのX型櫛型印、つまりX2型には「前10-12」という時間帯は存在しません。午前5時から2時間ずつ刻んでいくと、時間帯の始まりは次に7時、9時、11時……となり、10時から始まることはないのです。

それなら、午前8時から刻みが始まるY2型ではないか。Y型の使用開始は大正2(1913)年4月1日でした。「4日早いデータの更新」だとか「初日使用例が1日早まった」程度で盛り上がる消印収集「業界」のこと。「大正に入ってから」が常識のY型が明治43年に現われたら大騒ぎは必定です。

だが、ちょっと待った。確かにY型に「前10-12」の時間帯刻みはありますが、表示は「12」で「0」ではありません。当時の東京市内局の時間帯刻みは1時間では?の疑問は措いて、X2型でもY2型としてもこの印はアウトです。最終的に、年月日活字を初めとするフォントがいずれも既知の真正印と異なる「独創性」は救いようがありません。

GAN思うに、将軍の書状を偽造した犯人が「真実性」を強調したい余り、ニセの封筒にニセ消印までも作って押したのでしょう。そのサービス精神には同情の余地もありますが、しょせん消印は門外漢。複雑な形式の変遷や時間帯刻みの表示方法までは理解できなかったのでしょう。結局は墓穴を掘っただけ、というオチとなりました。
posted by GANさん at 14:33| Comment(0) | TrackBack(0) | ニセモノ列伝 | 更新情報をチェックする
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