2016年08月30日

印判付き飛脚状の大集成

飛脚表紙.jpg飛脚状の収集で知られる山崎好是氏が最近、40年近くに及ぶコレクションを中心に展開した『飛脚-飛脚と郵便-』を出版しました。この方面には無知のGANですが、素人目にも興味をそそられる、大変な労作と映りました。

山崎氏は飛脚業者の店名を表す印判、「店判」が押された飛脚状を中心に収集してきたようです。それを業者の営業形態(継飛脚、三度飛脚、定飛脚、米飛脚など)と逓送路(街道筋)の2次元により、理屈でなく飛脚状の現物について整理、紹介しています。分かりやすさの原因はこの辺にあるのかも知れません。

掲載されている飛脚状は全体で300通近くにもなるでしょうか。その大部分はアルバムリーフ形式にアレンジされ、カバーごとに1ページを使って店判の印影図と簡潔な説明が添えられています。店判図は264種を収録したといい、描き起こしの裏作業のための大変な時間が想像できます。

飛脚中頁.jpgその店判を持つ飛脚状ですが、全国漏れなくカバーしているのが壮観です。逓送路でいうと、京阪奈と東海道筋はもちろんのこと、美濃路、伊勢路、西国筋を小倉まで、信州・中山道、野州・奥州道中を宇都宮まで集められています。この過程で、地方史などの渉猟から各宿駅、各時代ごとに多くの飛脚業者名を発掘し、リストに整理されています。

著者自身の最大の関心は、飛脚と創業直後の郵便との関わりにあるようです。初期郵便史の研究者が随喜しそうな「飛脚が関与して逓送された郵便」15通が紹介されています。各博物館の所蔵品も網羅して、これが今日知られるコンビネーションカバーのすべて、なのかも知れません。

掲載されている飛脚状は全体で300通近くにもなるでしょうか。その大部分はアルバムリーフ形式にアレンジされ、カバーごとに1ページを使って店判の印影図と簡潔な説明が添えられています。全国194業者の店判264種の印影を収録したといい、描き起こしの裏作業のための大変な時間が想像できます。印影の図版がことに多いことも、この本の大きな魅力です。

その店判を持つ飛脚状ですが、全国漏れなくカバーしているのが壮観です。逓送路でいうと、京阪奈と東海道筋はもちろんのこと、美濃路、伊勢路、西国筋を小倉まで、信州・中山道、野州・奥州道中を宇都宮まで集められています。この過程で、地方史などの渉猟から各宿駅、各時代ごとに多くの飛脚業者名を発掘し、リストに整理されています。

著者自身の最大の関心は、飛脚と創業直後の郵便との関わりにあるようです。初期郵便史の研究者が随喜しそうな「飛脚が関与して逓送された郵便」15通が紹介されています。各博物館の所蔵品も網羅して、これが今日知られるコンビネーションカバーのすべて、なのかも知れません。

創業直後の官営郵便は、北海道から九州に至る全国主要地を最短時間で結ぶことを至上命題としました。幕府以来整備されてきた五街道が主要逓送路となり、その先やそれ以外に手が回りません。逓送路からはずれた枝道、傍道、僻陬の地にまで郵便を届けるにはどうするか。存亡の危機に遭遇した飛脚業者のサバイバル(短期に終わりますが)ぶりがカバーから手に取るように分かり、新鮮です。

官営郵便に張り合ったり折れ合ったりと、ビミョーかつ複雑な関係を持った地方独自の通信制度にも抜かりない目配りがされています。土佐の村送りは別として、北条県の郵伝制度、愛知県半田の特別地方郵便制度のシステムなどは初めて知りました。

ところで、私たちが日ごろ目にする飛脚状は、店判はおろかハンコの一つさえ押されていないものが大部分です。山崎氏によると、東日本では飛脚状に店判を押すことは通常はなく、飛脚が運んだかどうかすら疑われる、ということです。歴史的資料のはずのこれらスタンプレスカバーを放置してよいか。カワイソー、とGANなどはついつい思ってしまうのですが。

『飛脚-飛脚と郵便-』 〔山崎好是コレクション〕
山崎好是著、鳴美刊(2016年7月)、B5判320ページ、7,407円
著者は1958年生まれ。郵趣品と観賞魚の売買と関連書籍出版業の株式会社鳴美代表取締役。大学の卒論は「絹の道と郵便」。飛脚状収集家。郵趣関係と観賞魚関係の編著書多数。
posted by GANさん at 23:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 文献・論文 | 更新情報をチェックする
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