2016年10月02日

え、テニアンに「第Ⅲ軍」?

テニアン.png左の画像は10月2日夜締め切りのヤフオクに出品されたテニアン局のニセ日付印です。台切手が南洋などで使われたはずがないコイル切手ということもあって?、7人もが応札して13,100円という高値で落札されました。

この印はA欄「テニアン」、B欄「14.8.13」、C欄「第Ⅲ軍閲」、D欄に櫛型が入っています。E欄はC欄と区画する弧線がなく、櫛型印としては「初見」の3枚の花弁のような奇妙な模様になっています。

テニアン-2.pngC欄の4文字は消印の表現としては前例がなく、意味不明です。強いて解釈すれば、「第Ⅲ軍が検閲した」という意味を持たせようとでもしたのでしょうか。

一見してすぐ分かるように、真正印とは似ても似つかぬゴム印です。南洋の和文日付印にゴム印はありません(荻原海一著『南洋群島の郵便史』)。このような荒唐無稽の日付印が昭和14(1939)年のテニアン局で使われるはずもなく、空中楼閣という意味での偽造印です。土屋理義氏が唱えた例の「泰緬鉄道郵便」なるものの郵便印と同工異曲の存在です。

TINIAN.jpg右図は私蔵のはがきから採ったテニアン局日付印です。真正印はもちろん活印で、ニセ印とは片仮名と数字のフォント、櫛歯の高さなどすべて異なっていることが分かります。

GANは事前に出品者に対し、「テニアン局でこのような意味不明のゴム印が使われた事実はない。日本陸軍がローマ数字の「第Ⅲ軍」など編成した事実はない。「第三軍」だったとしても、昭和14年にテニアンに進出した事実はない」と指摘しました。「明らかなニセモノだから引き取りなさい」という趣旨です。

これへの回答は、ニセモノ出品者がいつもする常習的な言い分でした。「その品物に価値を見出すか否かは落とす方が決めることです」。同様な疑問を呈した別の人への回答でも「曾祖父のコレクションをそのまま出した。心配なら入札を控えて」です。いずれも指摘に対する反論はなく、「誤解」を解く真似すらしていません。これはかなり開き直った「確信犯」というほかなさそうです。

くどいようですが、日本軍事史上で「第何軍」というのは戦時だけの臨時編成軍です。まったく逆方向の満州で関東軍隷下に第三軍が編成されたことはありますが、平時の南洋に「転戦」した事実などありません。また、日本郵便史上で郵便切手の抹消(引受)と検閲とが一体化された日付印など1件もありません。
posted by GANさん at 23:37| Comment(0) | TrackBack(0) | ニセモノ列伝 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
コチラをクリックしてください

この記事へのトラックバック