2017年09月14日

満州国が軍人用はがき?

gg.png「偽満州国の軍事郵便はがき」という触れ込みで、怪しい櫛型印を押したブツが9月17日終了のヤフオクに出品されています。出品者の説明によると、通常はがきと同じ大きさの紙片の表に暗黄褐色で左図のように印刷されているそうです。

中央に大きく、交差させた歩兵銃の下に「軍人専用」の文字のある軍帽が白抜きで描かれ、この図案の上部に「満州帝国軍事明信片」、下部に「康徳十一年・新京」の文字があります。「明信片」は中国語で郵便はがきを、康徳11年は「満州国」年号で1944年を意味します。

裏面は白紙で、中央部に下図のような朱印1個だけが押印されているといいます(裏面全体の画像はありません)。一見して日本の関東逓信局が設置した鳳凰城局の大正5年(1916)か昭和5年(1930)の日付印のような形式をしています。

xx.pngところが、出品者はなぜかこれを「偽満洲国で発行されたはがきに中華民国25年の押印」と説明するのです。民国25年は1936年に相当します。満州国のはがきに日本局の日付印というのに、なぜ突然中華民国の年号が登場するのか。「25」や「1936」などという数字があるわけでもなく、根拠不明です。

仮に民国25年とすると、1936年に鳳凰城局の日付印を押した用紙を保存しておき、8年後に「軍事明信片」などの印刷をしたことになります。あり得ない時間の逆転です。恐らく出品者(=製作者?)は「康徳年号に14を加えると民国年号」と誤って思い込み、印刷の「康徳11年」に合わせたつもりなのでしょう。実際には、14を加えると民国年号になるのは昭和年号なのです。

ニセモノと断定できる決定的証拠は、A欄の「鳳」とD欄「満」が簡体字であることです。簡体字は戦後成立した新中国で1956年に中国人民の知的向上を図って採用された新字体です。日付印の「5」が大正でも昭和でも、あるいは民国や康徳年号であろうと、戦前にこの「鳳」「満」字体は決してあり得ません。また、明らかなゴム製印ですが、満州の和文印にゴム製は存在しません。

そもそも満州国でこんなヘンテコな「はがき」など発行された事実自体がありません。では、この空中楼閣的偽造品はだれが作ったのか。製作者の正体は「語るに落ちる」です。簡体字以外の字体の存在さえ知らない夜郎自大ぶり、特有の「偽満洲国」という表現。--この2点から中国人、それも新中国で生まれ育ち歴史問題に全く無知な中国人の仕業であることが明らかです。

追記(2017.09.18) この品は9月17日夜の締め切りでしたが1人も入札がなく「不落」でした。しかし出品者(製作者?)は直後に臆面もなく再出品しています。ヤフオクには自動再出品のシステムがあるので、カモが食い付くまで繰り返すつもりなのでしょう。公開されている「悪い」評価のやりとりを見る限りでは、出品者はちょっとアブナイ人のようです。
posted by GANさん at 00:21| Comment(0) | ニセモノ列伝 | 更新情報をチェックする
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