
でも、GANには彼の気持ちがよく理解できるのです。「日本はアメリカの『核の傘』で守られている。核は必要だ」。たとえ10万人単位で父祖の命を奪われた両市の市民が目の前にいても、核廃絶の誓いなどするものか--。今こそすべての日本国民に告げます。我らがアベちゃんに「深く寄り添って、真摯に、しっかりと、」彼の真情を忖度すべきです。
現代の新型コロナの何千、何万倍にも勝る原爆の大惨禍を受けて無条件降伏した日本は、アメリカを主体とする連合国軍に占領されました。日本中に開設された米軍野戦局を経由して、米軍の軍事郵便やアメリカ内国料金分のアメリカ切手が貼られた郵便物が日米間と日本国内を自由に往復しました。日本がアメリカの郵政区域に組み込まれたことになります。
米占領軍発着郵便物の日本国内での引受、逓送と米軍基地内宛て以外の配達は日本郵政が担当しました。米軍発の公用郵便は原則として無料扱いです。書留、速達など特殊取扱料金までもが無料でした。これらの郵便物を郵政当局は「連合軍郵便」と呼び、部内には「日本郵便とは料金など取扱が違う」として「格段の配意」を指示しました。

公用なので書状料金とすべての特殊取扱料金は無料となり、切手がまったく貼られていません。それでも未納ではないことを示すため、枠なし楷書体の「連合軍郵便」赤色印(右図)が封皮の右側に押されています。この印は米軍との郵便交換局(引受局)で押すように定められていたので、これは松山局の印です。
「連合軍郵便」印は荻原海一氏らによってこれまでに東京中央、横浜、広島駅前など8局が発表されていますが、局ごとにすべてタイプが異なります。交換局には米軍基地・施設所在地の延べ16局が指定されました。うち名古屋、佐世保、札幌局など少なくとも9局が未発表で、「松山型」は今回が初出です。
(本稿は久野徹氏「APOメール 改訂版」(1991年、『ボルドー』第19号所載)を参考にして執筆しました)