2014年02月23日

ハイブリッド型「電話便」

DENWABIN2.jpg大正期に東京と大阪だけで試行された、電話と郵便を併せたような「電話便」の送達紙です。桃色の厚手用紙にカーボン紙を使って手書きされ、やや不鮮明ですが「本郷 8.11.5 ★★★」の配達印が押されています。最近のネットオークションで入手しました。

やや場違いの感はありますが、「中国郵便史研究」第138、139号に筆名「松竹梅」氏の調査結果が「電話便とは?」「電話便の利用数」の2本の記事で次のように紹介されています。

――大正5(1916)年3月1日から東京市と大阪市で試験的に施行され、同一電話加入区域内相互間だけで利用できた。発信者は自己の加入電話か電話所から受信者最寄りの2等郵便局に電話をかける。局員が用件を聞き取って送達紙に記入し、直ちに受信者に配達する。料金は加入電話から7銭、電話所からだと10銭。利用者少なく収支相償わないため12年3月に廃止された――。

この電話便送達紙は、色や大きさは異なるものの、形式・内容が電報送達紙とほとんど同じです。配達に使われた「通信事務」の封筒も残っています。これも電報を郵便で配達する場合の送達紙を納める封筒と同様で、宛先が片仮名で書かれています。

「請求者電話番号」欄には番号でなく「小石川」と記入されています。発信者は小石川郵便局構内の電話所から電話したようです。受けた先が本郷郵便局ということは、両局の受持区域は「同一電話加入区」に属していたのでしょう。今日の東京都文京区は、旧小石川区と旧本郷区とからなっています。両局は隣接関係でした。

この時代、東京では郵便と電話の官署は既に分離していました。電話便は、電話局所管の施設・機器を利用して発信し、郵便局が受信・配達するというハイブリッド方式です。これがもし、「同一電話加入区」を超えて、例えば市外にまで発信できたら、別の発展をしたかも知れません。アイデア商品なだけに、ちょっと惜しい結末でした。
posted by GANさん at 18:14
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