2016年11月22日

ニセモノ罹災、非常通信

44.png11.png11月22日夜締切りのヤフオクに関東大震災の「罹災通信」と台湾・霧社事件の「非常郵便」のニセモノが計4点(左図)出品されました。いずれもスタンプレスカバーで偽造品としては稚拙ですが、相場より1桁小さい額ですべて落札されました。

罹災通信は千住局大正12年9月11日印のはがきと神田局9月13日印の封筒で共に同じ角枠黒色「罹災通信」印が押されています。33.png22.png

また、非常郵便は霧社局昭和5年12月12日印の絵はがきと同局11月15日印の封筒で、共に角枠赤色の「非常郵便」表示があります。「非常郵便」は印ではなく、角枠も含めペン書きです。

4点のうち千住の罹災通信は『JAPEX'93記念出版 関東大震災』掲載のエンタイア写真(p.23)を表裏共に模写したものです。ホンモノは「罹災通信」が赤橙色の孔版印刷ですが、こちらは黒印で「代用」しています。

ほかの3点は差出人が異なるのにすべて同一筆跡による同色(ブルーブラックか黒色、それと赤色)のペン字です。しかも封筒2通は、ステーショナリーとして同じもののようです。しかし、1点1点を遠目にすると、エンタイアとして良さそうには見えます。

千住印.pngこれら4点には不自然な「手書き」の多用が共通しています。日付印の外枠と日付活字の一部は実物印顆を流用しているようですが、局名、時刻帯を含むA・D欄(上部印体)、C・E欄(下部印体)すべてが手書きです(左図)。外枠と日付部の桁には墨入れもしています。年活字がないようで、「12」年は月日活字の流用、「5」年は手書きです。櫛歯まで手書きとはご苦労千万ですが、余りにも下手なのでバレバレです。

出品者は「身内の収集品です。ご自身の判断でご納得の上でのご入札を」と最初からエクスキューズを入れています。GANはさっそく日付印や筆跡について質問してみました。回答は「遺品整理品につき、正直詳しい入手経路など分かりかねます。」と確信犯お決まりの逃げ口上。後は何を質問しても頬被りのまま締切りに持ち込みました。

罹災通信や非常郵便の実際のコレクターはこれらに手を出さなかったでしょう。それでも落札した人は初心者でしょうか、はたまた、出品関係者か。いずれにせよ今回は質の低いforgery(模造品)でした。専門家をも欺いて横行する「空中楼閣的ニセモノ」よりはまだマシだったと言うべきかも知れません。

追記(2020.02.08) 既視感のあるエンタイアと思い、調べたところ、大石隆久氏主宰『スタンプ・コレクター+1』1987年3月号に「室永哲コレクション」としてこの非常通信2通と罹災通信1通(神田局)の計3通が掲載されていました。千住局の罹災通信はその後の「製造品」のようです。当時から「怪しい」とささやかれていたことを思い出しました。
posted by GANさん at 23:35
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